「私、本当に独学で受かるんだろうか?」
今、この記事を読んでいるあなたは、かつての私と同じように、そんな不安と戦っているかもしれません。Youtube等を見れば過去に1級着付け技能士を受験された先輩方の情報がありがたいことに溢れています。が、自分が欲しい情報を見つけることが私はできず、不安と日々闘っていました。このために対策講座を受けたほうがいいのかな?なんて思った夜も少なくありません。「試験当日の流れは?」「どれだけの受験者がいるの?」「モデルさんは若い人ばかりなのかな・・・髪型は?」「どんな準備をすれば減点されないの?」「道具のチェックってどこまで厳しいの?」——誰にも聞けず、漠然とした不安ばかりが膨らみますよね。
これを読んでいるあなたが不安なく当日を迎えられるよう、実技試験の「リアル」を具体的に書いていきます。
1級着付け技能士試験を独学で目指しているあなたへ。
受付〜開場まで
私は、12月に東京会場で受験しました。
合格発表は1月末なので、あまり早く受けてドキドキ待つのが嫌だったからです笑
1回の受験で何名受ける?
私が受けた回は、1グループ約10組で2グループありました(約20組の受験者)。12月は試験の最終月だから偏ってるかもしれません(情報求む)。
筆記試験は開場時間に到着すると溢れんばかりの長蛇の列だったので、実技は早めに行くべきかなぁと思ったのですが結局開場時間の5分前に到着しました。受付〜試験開始までは20分ほど時間がありましたが、私は会場時間に現地到着し、試験会場入りしたのが開始時刻の15分前でした。
試験の最寄り駅では同志の方々に会うので、勇気をもらいながら受験会場へ向かうことができました。着付師さんはコミュニケーション力の高い人が多いのでエレベーターの中で会話したりして、少し和みました。
受験生の服装は?
受験者の服装は、黒パンツに白シャツの王道スタイルが多いようです。靴下は黒色が多かったような。試験中は靴を脱ぐためか、12月にも関わらずブーツではなくてパンプスの人が多いように感じました。
男性受験者もおり、その方はスーツでした!ジャケット着用で着付けしている姿は側から見ててもかっこいいですね。
注意事項にあるように「石付きの指輪、腕時計及びアクセサリー等を外すこと。」は厳守しましょう。ちなみに私は試験中に爪が割れてしまうハプニングに見舞われました。
モデルさんの年齢層は?髪型は?
正直20代のモデルさんだらけなのかなと思っていましたが、私の受験回は年齢層は様々でした。受験者のお嬢様らしき方や、同じ着物関連の職場・同じ着付け教室の生徒さん同士かなと思う方が多かったように思います。着物関連の知り合いだと、後続で会話する準備時の並べ方の時にアドバイスしてたり、着付けられる時のポイントを理解してくれているので着付ける時に多少楽なのかもなぁと思ったりもしました。
髪型はショート・ボブ、肩に髪がつく方はまとめてました。そして皆さん何かしら髪に飾りをつけていました。
試験会場に入ったら持参品を取り出して準備
(4)試験中は、指定された場所で作業を行うこと。なお、面積は、受検者一名あたり約4㎡(2m×2m)とする。衣裳敷の大きさは指定してないので、必ずしも、作業スペース全体に敷く必要はない。
着付け職種技能検定 1級着付け(着付け作業)実技試験問題 注意事項
衣装敷の大きさは?
受験番号順に枠が決められています。与えられたスペース(2m×2m)全体に衣装敷を敷いている受験者が多数。衣装敷が小さくとも、持参品は風呂敷などの上に置けばOKなので衣装敷の上で完結する必要は無いようです。
くれぐれもモデルさんを床の上に立たせないように、持参品を床に直置きしないように、しましょう。
開始時間までは何をしている?
開始までに持参品を並べて開始時間を待ちます。衣装箱の大きさ(衣裳箱の大きさは縦40cm~45cm、横55cm~65cm、高さ5cm~20cmを目安とする)を指定されているのでコンパクトにまとめて待つのかと思っていたのですが、拡げて並べている人が大多数。この後、「持参品及び服装の点検のための準備(5分)」があるので、このために先んじて並べておいてもOKだったようです。
上着や履いてきた靴、鞄などは会場の隅に置いておくように指示がありました。携帯電話は提出(検定員が預かる)を促されましたが、カバンの中にしまっておいても大丈夫です。受験者・モデルさん共に、携帯アラームやバイブレーションで失格対象になるようなので、マナーモードではなく必ず電源OFFか機内モードにしておきましょう。モデルさんがカーディガンなど羽織っていらっしゃったら脱いでおいていただくほうが良いかと思います(後続の「モデルの着替え」のため)
「持参品及び服装の点検」って何するの?
まずは流れを確認
検定委員による試験の説明10分前に検定員が会場に入られ、ピリッとした空気になります。
説明では試験の「注意事項」を読まれます。
持参品及び服装の点検のための準備は以下の表の2項目があり、準備と点検に合計25分が費やされます。この持参品が試験概要を読んでもよくわからなくてまず不安になるところだと思います。この記事でもまとめていますが、不安になるものは協会に連絡して質問するのが良いです。私も1点不安点があり、質問しました。とても優しくお答えいただけましたよ。
| 試験時間枠 | 内容 | 時間 |
| 点検準備 | 持参品及び服装の点検のための準備 | 5分 |
| 点検 | 検定委員による受検者の持参品及び服装の点検 | 20分 |
持参品及び服装の点検のための準備(5分)で行うこと
(9)「持参品及び服装の点検のための準備」の際には、検定委員が持参品の種類や数を確認出来るように持参品を並べること。特に、長襦袢はたたみ、背側が見えるように置き、紐付きの伊達巻は紐が見えるようにし、着物は本だたみにたたむこと。ただし、帯は折らずに平ら(又は屏風だたみ)にたたむこととし、帯の形付の作業は「着物着付け、帯結び」の作業時間内に行うこと。
着付け職種技能検定 1級着付け(着付け作業)実技試験問題 注意事項
検定委員による受検者の持参品及び服装の点検(20分)の際に、検定員が持ち物をチェックしますので、見やすいように持ち物を並べます。これは衣装箱のサイズを無視して構いません。検定員がスムーズにチェックできるように並べます。
・補整用タオル、 ガーゼ、コットン/肌着/足袋
・着物/長襦袢
・帯/帯揚げ/帯〆/三重仮紐可
・紐類・クリップ
等、試験の順番に沿ってグルーピングしている方が多い印象です。
並べた持参品は「モデルの着替え」が終了し、「補整、長襦袢着付けのための準備(5分)」まで触ることができません!その後の作業スペースを確保できるように並べておきましょう。
購入したコットンは袋から出しておくのは可能です。私は、購入したまま所持し、現場でパッケージを破らないといけないのかな・・・と無駄に心配していました。
検定委員による受検者の持参品及び服装の点検
試験管は1グループに4-5人いらっしゃいまして、点検時は全員で1受験者を複眼チェックされます。そのため20分確保されていますが、自分の点検は数分です。持参品が規定通りでない場合は失格になりますので、ここが一番の峠かもしれません。私の受験の際は1名が失格で帰宅準備をさせられていました。おそらく着物が絵羽柄ではなかったことが要因だと思いますが・・・。持参品不備で失格になるのが一番悔しいですよね・・・。
🚨 【非加工・本数厳守】持参品の「ルール違反」は即失格
(8)持参品で受検に適合しないものがあった場合(用意なしを含む)は、原則として失格となる。
着付け職種技能検定 1級着付け(着付け作業)実技試験問題 注意事項
試験要項には「持参品で受検に適合しないものがあった場合(用意なしを含む)は、原則として失格となる」と明記されています。
① タオル・補整具の「加工品」はNG!加工コットンは使えない!
- タオル・帯揚げの畳み方: 四つ折りで畳むよう指定があります。タオルは端が見えるように並べます。加工していないか?を確認しやすいためだと思います。畳み方が間違っていても検定員の方に修正指示されるのみなので、慌てなくても大丈夫です。
- コットン加工品: 加工しているとみなされたコットンはNG。あれば試験時には使えません。これはかなり指摘されている方が多かったです。コットンを8枚切りなどに小さくして持参してきているものはグレーゾーンの様子。私の受験回はセーフになってました。疑われるのも困るので加工せずに持っていく方が無難かなと思います。
- 三重仮紐: 四重になっているものは使用不可です。その場で切ればOKのようですが、せっかくの紐を切りたく無いので、最初から三重仮紐を準備するのが安全です。
② 紐・クリップの本数は試験概要通りに!メジャー類は禁止
- 使用する紐やクリップの数は厳しくチェックされます。伊達締めの数も規定通りにしましょう。余計なものを並べないことが鉄則です。
- 目盛の入っているクリップは目盛をテープ等で隠すこと。不可と明確に定められています。
🚨 着物類の点検時の畳み方
点検のための「準備5分」では、検定委員が確認しやすいように、持参品を並べなければなりません。この時に畳み方を指示されました。
- 長襦袢: たたみ、背側が見えるように置くこと。(塩瀬の半衿かどうかの確認を兼ねています。)
- 着物: 本だたみにたたみ、裾が見えるように置くこと。(絵羽模様であること。全ての裾の縫い目の模様(上前衽・前身ごろ・両脇・背・下前身ごろ・下前衽)がつながっているもの、であるかを確認されます)
- 帯: 折らずに平ら(又は屏風だたみ)にたたむこと。(帯の形付は着付け時間内に行うため、この段階ではしない)
- 伊達巻: 紐付き伊達巻は紐が見えるように置くこと。
💖 持参品・道具点検まとめ:点検を乗り越え、実技試験のスタートラインに立つ!
ここで失格のリスクをゼロにできれば、あなたは自信を持って次のフェーズに進むことができます。
- 準備:道具は「非加工品」に統一し、紐やクリップは必要最低限に。
- 配置:検定委員が確認しやすいように、定められたルールで並べる。
- 着物は絵羽模様!無地、小紋柄、織りは失格。
これらの鉄則を守り、最高の状態で実技に臨みましょう!
続くPart 2では、「モデルの補整の点検(5分)」から「補整、長襦袢着付け(15分)と採点(10分)」の計30分間の流れを、検定員のチェックポイントとともにお伝えします。

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